たかくんの成長

大学1年生、たかくんの成長を綴ります。学習記録や学生生活に関することが多いと思われます。

クソリプの生まれる理由 〜言葉のしくみ 認知言語学のはなし(高橋英光) 〜【読書メモ】

 

言葉のしくみ―認知言語学のはなし (北大文学研究科ライブラリ) (北大文学研究科ライブラリ 1)
 

 

ふと目についてパラパラと読んでみたら面白かった。

認知言語学とは、1980年代に誕生した新しい言語学であり、Cognitive Linguisticsの日本語訳。言葉と言葉を扱うときの頭の働きに着目した学問であり、認知心理学脳科学などの成果を重視し、心理学的な実在性の高い言語研究を目指す学問である。硬い説明だが、要するに言語を無味乾燥に分類する従来の言語学と異なり、人間の意識をも分析対象にした新しい言語学というところなのだろうか。

 

1章 言語についての神話

世界には言語がいくつあるのか/ 日本語は非論理的か/ 文法のない言語はあるのか/ 早口の言語はあるのか/等

2章 記号を使う生物

言語は記号の一種/ 恣意的な記号と図象的な記号/ 言語はどのような記号か/ 語彙と文法の図象性と恣意性/ 図象性と恣意性の助け合い/等

3章 意味とはどこにあるのか

伝統的言語学の意味論/ 認知言語学の意味論/ 経験基盤的意味論/ 英語の前置詞inの不思議/等

4章 「明けの明星」と「宵の明星」と「金星」ー認知能力のいろいろー

具体性の度合い/ 記号を背景の中で理解する/ 意味の焦点とフレーム/ 際立ち/ 視点とスキャニング/等

5章 カテゴリー

カテゴリーとは何か/ 言葉はカテゴリーを表す/ カテゴリーのタテとヨコ/ 典型の見分け方/等

6章 メタファー

メタファーとは何か/ 認知言語学のメタファー分析/ メタファーの二方向性/ メタファーの構造/なぜヒトはメタファーを使うのか/等

7章 メトニミーとシネクドキー

メトニミーとは何か/ メトニミーとシネクドキー/ メトニミーとシネクドキーの制約/ ことわざの中のシネクドキー/ 

8章 動詞(だけ)の絵は描けないー品詞とは何かー

日本語と英語の品詞の違い/ 品詞の違いは認知の違い/ 名詞と動詞/品詞は転換する/等

9章 文は舞台である。主語、目的語は役者である。

主語や目的語の「省略」/ 主語の明示法/ 主語についての従来の考え方と認知言語学の考え方の違い/ 主語の選択と共感の階層/等

10章 語順と文法

文法はジャンルに中立的/ 文法の意味はイメージ・スキーマである/ 文法は生得的か後天的かという議論の落とし穴/ 日本語(SOV)も英語(SVO)ももっとも標準的な語順の言語である/ 非規範的語順に課される制約/ 等

11章 談話の首尾一貫性

談話と首尾一貫性/ 記憶と推論の働き/等

 

 

そもそも言語学というものをあまり知らなかったので、新鮮で面白かった。

巷で言われる、日本語は非論理的な言語である。という思い込みについてしっかりと答えてくれている。言語に論理的も非論理的もなく、それは書き方、伝え方の問題だということ。考えてみればそれは当然なんだけど。

 

言語には、他人とのコミュニケーションをするという側面と、世界の物事、抽象的な概念を認識するという2つの側面が存在する。面白かったのが、人は身の回りの物事、考え方を分割し、整理し、解釈する”カテゴリー化”という作業を行い、他人と世界の認識を共有してからでないと、コミュニケーションは出来ないという考えである。

これはその通りで、例えば我々純日本人とアメリカ生まれアメリカ育ちの人とでは、お互いの共有できる認識の範囲でしかコミュニケーションを取る事ができないだろう。アメリカの子供に人気なテレビ番組であったり、アメリカの小学校の文化、地域との交流の仕方などといった片方にしか認識出来ていない話題でお互いが盛り上がるというのはおそらく不可能だ。ただこれは、お互いに話題が”共有できないだろう”ということが事前に分かるので特に問題ないような気もする。

問題なのはむしろ、同じ日本人同士であったとしても、あるテーマに対するお互いの認識が微妙に食い違っていて、そこにお互いが気付かずにコミュニケーションが破綻する場合である。これはよくある話なのではないか。(某Twitterなどでは毎日見られる光景だが。。。)たった140字の中でも、クソリパーの頭の中では、文脈の指し示す意図、文章を書いた主の背景などの”認識”が共有されていない可能性もあれば、文中のたった一つの単語に対する解釈が根本から異なっている可能性もある。

 

同じ日本語という言語を話しているのに、コミュニケーションが取れない理由、それはお互いの世界に対する認識が異なっているからなのだ。人にリプライを送る前に、相手のTweetの内容をよく吟味して、この単語の意味するところは何か、主の伝えたいことは何か、そのツイートが生み出された背景は何か、などきちんと確認する事、考える事が出来ているだろうか。あなたもいつでもクソリパーになる可能性があるのだ。