たかくんの成長

大学1年生、たかくんの成長を綴ります。学習記録や学生生活に関することが多いと思われます。

機械学習と神経科学、ロボティクスの融合、コレ最高。 メカ屋のための脳科学入門 脳をリバースエンジニアリングする 高橋宏和 【読書メモ】

この本は、東京大学工学部機械系学科と同大学院情報理工学系研究科および工学系研究科で筆者が開講している工学系のための脳科学の講義録である。

 

メカ屋のための脳科学入門-脳をリバースエンジニアリングする-
 

 

 

第1編 イントロダクション ーエンジニアのための脳科学とは?

第1講 脳の構造から機能を探る

第2講 ハードウェアとしての耳 ー耳の構造と人工内耳の発明

第3講 脳の予測機能 ーー22個の電極が3万本の聴神経を代替できる理由

 

第2編 神経細胞

第4講 神経細胞とネットワーク ーなぜ脳には”シワ”があるのか

第5講 神経信号の正体 ー神経細胞が電気で情報を伝える仕組み

第6講 神経細胞の情報処理メカニズムと神経インターフェイス ー人間に五感をもたらす仕組み

第3編 運動編

第7講 筋肉と骨格 ー生物の運動を作り出す機構と制御

第8講 筋肉の制御回路 ー運動ニューロンによる身体の動作制御

第9講 脊髄 ー運動パターン生成器

第10講 大脳皮質の運動関連領野 ー階層的な運動制御

第11講 小脳 ーフィードバック誤差学習による身体モデル構築

第4編 知覚編

第12講 おばあさん細胞仮説 ー脳の階層性がもたらす”概念”の形成

第13講 神経細胞の情報処理メカニズムと分散表現 ー神経細胞のチームプレーを可能にする脳内クロック

第14講 機能マップと神経ダーウィニズム ー脳による学習のメカニズム

第15講 脳の省エネ戦略 ー自己組織化マップと深層学習による効率的な情報表現

第16講 脳をリバース・エンジニアリングしてみよう ー脳の仕組みを、機能に結びつける

第5編 芸術編

第17講 脳と芸術 ー脳は分布に反応する

第18講 好き嫌いの法則性 ーヒトの”好み”に作用する進化の淘汰圧とドーパミン報酬信号

第19講 芸術の法則性と芸術家の芸風 ー芸術のエッセンスは脳への訴求力

 

 

このブログをご覧になってくれている方ならご存知の通り、機械学習神経科学に魅せられてCourseraを使って独学で学んでいた自分にとって、まさに、まさにコレであるという1冊であった。どの話題も自分の興味にドンピシャリで、これほど思った通りの本に出会ったのは初めてかもしれない。

 

karia68.hatenablog.com

 

 

これから様々な工学分野が発展していく中で、機械系の人材が生物学に通じているというのはもはや当然のことになるのではないかと見ている。なぜなら今現在最も複雑なハードウェアは生物であり、我々が複雑な機械を作ろうと考えれば構造が自然と生物に似通っていくと考えているからだ。もちろん特定の機能(車、飛行機など)を考えれば、生物の構造が必ずしも最適ではないことは明らかだが、親和性という観点から見て、人間とロボットの共存する未来における工学の生物への理解は必須と言えるだろう。

 

筆者が機械系の出身であるということから、脳を生物学者の視点からではなくエンジニアの視点から捉え、面白く解説している。その手始めとして第1編では、耳をハードウェアとして捉えて、そこに隠された複雑な機構を設計論的な考え方から観察している。

途中の、脳は必ずしも最適設計ではなく、進化を経てつぎはぎに機能を追加していったのだという視点は新鮮で面白かった。神経信号あたりの話題は少し難解で、すぐには理解できなかったので何度も読み返していきたいと思う。しかし数学に化学に物理にと、そして神経科学は生物で、やっぱりなんでも必要なんじゃんという実感が増す。

第3編の運動編は、まさにロボティクスじゃんと思った。ウェアラブルな人口筋肉などが続々出ている中で、こういった神経科学の知見はやっぱりちゃんとロボットに生かされているんだなあと感じた。そして学ばなければ、学びたいという思いも増した。

機械学習を少しかじった身として、とりわけ面白かったのが第4編の知覚編である。ここでは個々の神経細胞がチームプレイをすることによって、高度な学習をする様子が解説されている。Courseraで学んだ、ニューラルネットワークの次元削減の手法が、脳内のニューロンでも行われているということを知り、ワオとなった。脳の情報処理のしくみを学ぶことで、Deep Learningをはじめとする様々な機械学習の技術にあらためて期待を持った。

また、最後の第5編芸術編も非常に面白い。実は水のテカテカとした光沢感は、ほんの少しの輝度の分布の違いによって生み出されていることや、日本人と欧米人の美的感覚の違い、音楽の1/fのゆらぎの嗜好性などを、脳科学的な観点から解説している。

 

結論として、まだまだ知識が足りないことも実感させられたので、何度も読み返してインスピレーションを得たいと思える本だった。

ちなみに、続編も出ており、コレも読んでいきたい。

 

続 メカ屋のための脳科学入門-記憶・学習/意識 編-

続 メカ屋のための脳科学入門-記憶・学習/意識 編-

 

 

 

しかしまずはCourseraのNeuroscienceのコースを進めなければ。

 

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